2.「誓い」へ
3.「聖なる儀式」
(※ このお話には性的な描写が含まれています)
うっすらと汗がにじむ白皙の肌が生み出すチラリズムの破壊力に、思わず生唾を飲む。だが、俺は衝動的にむしゃぶりつきそうになる自分をギリギリのところで抑えて、彼女の呼吸が落ち着くのを待った。
手を握ってやると、黒猫は薄く開いた目を弓にした。安心しきった童女にも似たほほえみと、漂うほのかな艶っぽさとのギャップが、ダイレクトに股間を直撃する。
実際、どんなにエロいAVを見ても、こうはならねえぞ。口に出そうもんなら間違いなく怒られるだろうが、すげえよ黒猫。ま、それは好きな相手だからこそ、なんだろうけどさ。
「先輩」
穏やかな声で呼びかけられて、意識は再び眼前の恋人へと移る。目が合うと、彼女はきゅっと手を握り返してきた。
「好きよ、先輩」
ストレートな告白に、止めようもなく頬が熱くなる。次の瞬間、高ぶる気持ちが反射的に思考を経ない言葉を紡ぎ出していた。
「俺だってそうさ。おまえが、好きだ。大好きだよ」
何べん言ったって、この想いはとても伝えきれないだろうぜ。それでも、いや、だからこそこみ上げてくる愛しさを伝えたい一心で語を継ぐ。
「好きだ、黒猫」
「先輩」
俺たちは磁石が引き合うように顔を寄せると、深く深くキスをした。唇を離すと、二人は細い糸となった唾液でつながれていて、照れくささを覚え、互いに目を細くする。
一拍を置く形になったおかげで衝動的な気持ちは幾分収まった代わりに、間近で見つめあい続けるのがなんともこそばゆく感じられて、浅い口付けを二、三度すると、黒猫はくすぐったそうに眉尻を下げた。それから、どういうわけか彼女は不意に目を見張り、視線を伏せ、こちらの袖をちょいちょいと引いてくる。いったい、どうしたってんだ。
「……あの、ひとつお願いがあるのだけれど」
「おう」
あっさりと答えた俺は、次の台詞に愕然とした。
「先輩。明かりを、消してもらえないかしら」
「そんなことしたら、お前の顔が見れねえじゃねえか!」
かろうじて声を荒げるのだけはこらえたが、衝撃のあまりにわかに続く言葉が浮かんでこない。
だってよ。暗い部屋だと、首も二の腕も胸も太もももあそこも臍の穴も、この透き通るように白い肌もこいつの顔すらも見れなくなっちまうんだぜ。そんなの、あり得ねえ。あんたらだって、そう思うだろ?
「俺は、愛しいおまえの姿をいつだってこの目に焼きつけていたい。一緒にいられないときは仕方がなえが、こうして、側にいるときは欠かさずおまえを見つめていたいんだ。……だめか?」
一縷の望みをかけて問いかけると、黒猫はほんの少しだけ困った風に笑った。
「……あなたが、そこまで言うのなら、その、やぶさかではないわ。私も、あなたの顔を……いえ、なんでもないわ。今のは聞かなかったことにして頂戴」
頬を上気させつつ唇を尖らせる様は、目がくらむような可愛らしさだった。
「でも、せめてもう少し、明かりを落として。お願い」
「わかった」
裾をつかんできた彼女の頭を撫でてやってから、電灯から垂れ下がる紐を一度だけ引く。さすがに明るさは落ちたものの、まだまだ視界は良好だ。
「……これくらいなら、いいか?」
「ありがとう」
不満がないわけじゃないんだろうが、結局、黒猫は笑顔で許してくれた。
「は……ふぅ……ん」
なだらかな双丘をまさぐり、舌を這わせ始めてからどれくらいになるだろうか。決してふくよかとはいえない体つきだが、それでもこの柔らかさは別格だった。脇のほうから中心へと寄せるように胸をすくい上げてから手を放すと、寄せた膨らみはたゆん、といった効果音が似合う動きをみせる。大きさ的に揺れるとまではいかないものの、この様子は眼福のひと言に尽きる。
黒猫はさっきからずっと目を閉じたままでいる。時々眉を寄せるのは、恥ずかしさのせいか、あるいは心地よさを覚えているからなのか、それとも不快のためか。できれば、最後のひとつであって欲しくない。
ともかく、そろそろ準備はいいだろう。これまで、俺はある一点以外をずっと攻めていた。薄い桜色の頂、柔肌が描く曲線の最先端、乳首にだけは触れずにいたのである。だがそれも、ここまでだ。
「や……はン」
俺は鳩尾の辺りにキスをして、そこから唇で双丘の輪郭をなぞっていった。徐々に高さを得る膨らみの避けてきた頂点を、たっぷりと唾液を乗せた舌で舐め上げる。
それは、劇的な効果を発揮した。
「あ……ッ」
はっきりとわかる嬌声と共に、身を仰け反らせる後輩を目にした俺は、内心ガッツポーズを取る。これまでとは明らかに異なる反応だった。
散々ここにちょっかいを出すのを我慢していたからな。悪いが、覚悟してもらうぜ。
俺は乳房の先端をすぼめた唇で包むと、一気に吸った。声にならない声をあげてしまう己を恥ずかしく思ったのか黒猫は急な動作で自分の口を手で覆うが、いくらそうしたところで声は漏れ放題である。 空いた一方を指でいじくりながら、わずかに硬度を増した双丘の先っぽを貪欲に舐め、吸い、甘噛みする。込める力に強弱をつけ、発展途上の膨らみを弄ぶ。それによって奏でられる後輩の声は、はっきりとわかる喘ぎ声になっていた。シーツをつかんだ腕は握り締められたまま、はだけてしまった扇情的でしかない浴衣から覗く裸身は時々不自然に跳ね、顔だけではなく全身が幾らか上気しているように見える。
こうした艶姿を見ていると、もっと感じさせたい、もっとこいつをよがらせたいという欲求が沸いてくる。指や舌を使っただけでこうした嬌態を生み出せるのなら、いけるんじゃねえかと思えてしまう。そっちの気があるのかどうかは知らないが、好きな子をいじめたくなる心持ちというのは、これに近い感覚なのかもしれない。
俺は指の動きをそのままに、体を起こして視線をなめらかな肌によって連なる下腹部へと移した。目を閉じたままの黒猫は、こちらの動きに気づいていない。
俺は素早く彼女の足側へと移動し、太ももを抱え上げた。さすがに瞼を開いた黒猫だったが、紗のかかったようなぼんやりとした眼差しを大きく見開いたところでもう遅い。閉じようとしても、俺の頭が邪魔をして股間を隠すことはできないからだ。
「なにをするの。の、呪うわよ」
「はは、残念だが俺はもう、解けない呪いにかかってしまっている。おまえに惚れちまっているからな!」
「な、な……」
後から冷静になって考えると、とても素面では言えそうにない台詞だが、我ながら勢いというのは怖いもんだぜ。
それを、こいつがどう受け止めたのかはわからない。ただ、抵抗は一気に弱まった。
下腹部を覆う薄布は十分に湿っていて、普段のものは明らかに違う、雌の匂いが漂っている。俺は、自分でも驚くほど手際よく彼女の下着を膝の辺りまで脱がせると、一切遮るもののない乙女の割れ目へと鼻先を押しつけるように接近する。
黒猫が顔を両手で覆い隠すのを尻目に、俺はしげしげと前人未到のクレバスに見入った。そこは、まるで別の生き物のように息づいていて、両の親指を使って割れ目を押し開くと、つ、と透明の雫があふれてくる。胸への攻めは、しっかりと彼女の官能をくすぐっていたらしい。
「……莫迦、莫迦、莫迦、莫迦……っ」
ついにはYES・NO枕を顔に被せてしまった黒猫が漏らす、呪詛と呼ぶにはあまりにも愛らしすぎる声を聞いていると、つい頬が緩んじまう。
俺は心行くまで秘所を見つめてから、宣言した。
「舐めるぞ」
「え、待っ……ッ!」
ここで待てと言われて待つやつがいるだろうか。いや、いない。俺はクレバスに口全体で吸い付いた。そうしながら、脱力させた舌で下側から上に向かってじわじわと舐めていく。ちらりと顔を見やると目が合って、彼女は勢いよくそっぽを向いた。
誰にも見せたことがない場所だもんな。逆に、こいつに自分の局所を見せるとなると、とても平気じゃいられないだろうぜ。
意図的にペチャペチャと音を立てて割れ目を舌で刺激し続けるうち、最初は恥じらいの感情しかみられなかったが、根気強く繰り返していると、徐々に反応を示すようになってきた。
「……ねえ、先輩」
呼びかけに応え、俺は何食わぬ顔でクリトリスを皮の上から円を描くように圧迫しつつ返事をした。
「どうした」
「なんだか、変な感じだわ。中というか、奥のほうがむずがゆいような……ン」
愛撫が功を奏していると、はっきりわかる。向けられた瞳は悦楽に濡れ、どこか焦点が合っていない。経験がない俺でも知覚できるぜ。黒猫は、確かに感じていた。
「なあ。ここを舐められて、どんな感じだった?」
「正直、よくわからないの。でも、あ……ん、は……っ」
話の途中で指をこすり合わせるように陰核をつまむと、台詞が途切れて甘い声が部屋に響く。手を止めると、潤んだ目で小さく首を左右に振ってくるが、再開した途端、黒猫は艶っぽく鳴き始めた。
「先輩、そんなにしたら……あン、はン」
「指、入れるぞ」
またも一方的に告げた俺は、人差し指に愛液を絡めてからゆっくりと内部へ押し入る。
「く……うン」
黒猫は身を固くしたが、それは痛みによるものではないらしく、手を握ってやると淡いほほえみが返ってきた。
「痛かったら言ってくれ」
「……はい」
膣道は十分に濡れていて、指はすんなりと奥まで届く。ただし、その締めつけ具合は相当なもので、異物を排除しようというのか、力を抜くと押し出されてしまいそうだ。それでも、しばらく出し入れを繰り返していると、段々、動かしやすくなっていく。
「あ……ふぅ」
つないだ手に、時折力が入る。無論、そうしているのは黒猫のほうだ。
「いや……あン」
俺は徐々にかき回すような動きを加えていき、それに応じて快楽を訴える声が聞こえてくる。やがて、潤いを増したヴァギナからくちゅくちゅという音がし始めた。それが聞こえたのだろう。白い肌が一気に熱を帯びて、首の辺りまで朱に染まる。
俺は出し入れの速度を上げ、愛液でぬめる膣壁の腹側、せり出した熱い膨らみを丹念にこすった。
「せん、ぱい、あっ、んッ」
不意に後輩は半ばしがみつくように腕をつかんできた。
「あふ、だめ……なんだか、私……」
ぐっと、黒猫の背が弓なりに反る。直後、限界まで指を突き入れたそのときだった。
「あ……くぅ……ッ!」
びくん、と白い裸身が跳ねて、その後、しばらく小刻みな震えが続く。
びっくりして、つい手を止めてしまった。これって、よくわかんねえんだけど、イッた?
聞いてみたい衝動に駆られているのを悟られたのか、黒猫は呼気を乱したまま、莫迦、と軽く握った拳で俺の太ももを打った。
「私ばかり、ずるいわ」
起き上がった彼女は、下唇を小さく突き出しながらそう言った。俺は無言のプレッシャーに気おされて横になる。こうなったら、すっかりテントを張っちまった股間は隠しようがない。
「浴衣が、盛り上がっているわね」
立てた手のひらで口元を覆いながら、黒猫が目を丸くする。いったいなんのプレイなんだよ、これは。
「悪いかよ」
「ううん、そんなことはないわ。でも、すごい」
当たり前じゃねえか。好きな子と抱き合っていて、息子が元気をなくしたままだとしたら、それは緊張しすぎか病気かのどちらかだろうよ。
けど、ここで興奮しちまったから、なんて言うのはいくらなんでもNGだよな。
「当然だ。おまえが可愛いからな」
「……莫迦」
真顔で言うと、消え入りそうなつぶやきが返ってきた。こうした動作の一つ一つが、いちいちツボだった。
こうなると、脳と下半身が直結してしまうのは無理もない話である。
「なあ。俺の、触ってくれないか」
言ってから、自身の発言に焦る。だが、時既に遅し。迷う暇もあらばこそ、思ったままを口にしてしまった。
「なっ」
案の定、後輩は唇をわななかせて絶句する。これじゃ、どんな罵声を浴びせられても、文句は言えねえよな。だが、肉棒へと注がれる眼差しは怒気をはらんではいなかった。
「……まさに、獣の象徴ね」
そそり立つイチモツを凝視する黒猫は、思わず、といった風につぶやきながらも、そこには嫌悪の色は見当たらない。むしろ、大切なものを見るような目で、ふっと口の端を緩めたのである。
「でも、どうしてかしら。少しも怖くはないの。きっと、あなたの一部だから、なのでしょうね」
天使のような笑顔でほほえみかけられても返事に困るんですけど。いや、台詞自体は嬉しいんだけどさ。
「実際に目にしたのは初めてだったから、驚いたわ。それも、こういう状態ではなかったし」
そこで、ためらいがちに伸びてきた白魚のような指が、布地の上から俺の息子に触れた。ちょん、と触った、と言ったほうがいいだろうか。
「こう、かしら」
「ああ。だけど、そこまでおそるおそるでなくて大丈夫だ。もう少し……くっ」
撫でられて、その気持ちよさにうめいてしまう。
「と、黒猫?」
目を開くと、黒猫が心配そうにこちらを覗きこんでいた。
「痛かった?」
「いや、気持ちがよくて声が出た」
「そう。よかった」
後輩は安堵の表情をみせるや、するすると俺の帯を解き始める。
「え? あの、黒猫?」
「言ったでしょう。私も、あなたを気持ちよくしてあげたい」
早口による宣言は、俺が戸惑っている間に実行へと移された。あれよあれよという間にトランクスをずり下ろされ、動き難かったのか自分の足に引っかかっていた下着を脱ぎ捨てると、黒猫は、まるで猫のように両手でイチモツを挟みこんだ。
「痛かったら、言って」
「ああ、わかった……っ」
舌が、ミルクを舐めるかのごとくちろちろと肉棒の先端をくすぐる。それだけで、震えるほどの快楽が背筋を走った。
「気持ちいい、のよね」
「ああ。すごく」
正直に答えた直後、今度は亀頭部分が口腔に包まれて、言葉が続かなくなる。舌が、裏側から先っぽへ、更には鈴口へと這い回る。ぎこちないながらも前後の動きを交えつつ、一心に肉棒を咥える姿は視覚から、拙くも積極的な後輩の口撃が物理的に俺の耐久力を削り取ってしまう。限界は、にわかに訪れた。
「黒猫……ッ」
俺は、短い叫び声と共に、ほとばしるスペルマを彼女の口内へとぶちまけていた。
むせ返り、目を白黒させながらも放出した精子を嚥下してくれた彼女を、俺はしっかと抱きしめた。申し訳なさもさることながら、そんなこいつが愛しくてならなかったからだ。
「ひどいわ」
耳元でささやく声に、素直に頭を下げる。
「すまん」
でもさ。あんなに気持ちよくて、気持ちよすぎて、そんなの、耐えられるわけねえだろ。
「京介、キスをして」
「ああ、いいけど、どうしたんだ急に」
後輩は俺の肩口にもたせていた額を離して、唇を悪戯っぽくつり上げた。
「少しくらい、あなたも味わってみなさい」
お返しよ、とばかりに笑みを深くする黒猫に、苦笑する。こりゃ、拒否権はなしか。内心観念したそのときである。
「なんだこりゃ」
唐突に布団の上に転がった小さな包みを拾い上げて、首を傾げかけた俺は思わず声を失った。
まだ一度しか見たことがねえけど、これはコンドームじゃねえか。なんだってこいつはこんなものを……。
「違うのよ」
後輩はいつか聞いた台詞を、あのときよりもずっと硬い声でうめいた。からかうのが気の毒になるくらい、動揺している。これはもしかすると……。
「おまえ、最初からそのつもりだったの?」
「だから、違うと言っているじゃない」
ぽん、と俺の二の腕を叩いて、黒猫は避妊具を乗せた俺の手のひらに視線を落とした。
「これは、沙織がお守り代わりにと、持たせてくれたの」
長い睫毛が伏せられて、限りなく口元がω なラインを形作る。
「『京介氏はよくできた方でござる。ですが、若い男女のこと。日帰りとはいえ二人きりの旅行となればなにがあるかわかりませぬ。ゆえに、お持ちすることをお勧めするでござるよ。もちろん、使えと言っているわけではありませんぞ。そこは、ゆめゆめ誤解なきよう……と、これは余計なことを言いましたかな。野暮ったいことは申しませぬ。黒猫氏の思うまま、行動してくだされ』と、そう言っていたわ」
相変わらず人の特徴をつかむのが上手いやつだ。あのぐるぐる眼鏡がこの場に現れたようだったぞ。 まったく、あのおせっかいめ。
「でも、違わないわね。本当にその気がないのなら、私は沙織の言葉を受け入れはしなかった」
「え?」
彼女がなにを言わんとしているのか数秒遅れて理解した俺は、熱いたぎりを下腹部に覚えた。それは止めようもなく直線上にある黒猫の裏腿を打つ。
「先輩。もう、大きくなってるの?」
個人差はあるにしても、回復にはある程度時間がかかることを知識の上では知っているとみえて、後輩は驚きの声を上げた。
「……あ、はは、そうみたいだな」
こうもすぐ元気になっちまうなんて、自分でも信じられねえ早さだよ。けどさ。それは、れっきとした理由があるんだぜ。
「そりゃ、魅力的な女の子が目の前にいるんだ。無理もねえよ」
「莫迦。なにを言い出すのかしらこの雄は」
見つめる視線の先、目元を桜色に染めつつ黒猫は目を反らした。
「第一、私は胸も小さいし、お世辞にも肉付きがいいとは言えないわ。やせっぽっちで、つまらないでしょう? 無理にお世辞を言わなくても」
「バカ。そんなことねえよ」
そんなこと、あるわけがねえ。
「おまえは綺麗だ。肌だって真っ白だし、なにより可愛いしよ。その、見ていてくらくらしちまう」
いつからだろうな。妹みたいな存在でしかなかったおまえを、こんなにも好きになっちまったのはさ。本当に、心の底から愛しくてたまらねえんだよ。
「俺は、そんなおまえを抱きたいと思っている。黒猫。おまえが、欲しいんだ」
「……なんども言わせないで頂戴。これは、神聖な儀式なのよ」
いくら鈍い俺でも、この言葉は正確に理解することができた。
「だから……ん」
もはや、言葉は必要なかった。俺は彼女の唇を塞ぐかたわら、コンドームの袋を破り、いきり立つ息子に装着した。潤滑剤がついているらしいそこに、念のためにと黒猫のものと入り混じった唾液を指ですくい、垂らす。
「黒猫」
「せん、ぱい」
「愛してる」
布団の上に横たわる彼女にもう一度キスをしてから、肉棒の先を濡れた乙女の割れ目にあてがった。そして、後輩のうなずきを合図に、ゆっくりと中へ入っていく。
「……ッ」
破瓜の痛みに、黒猫は眉を寄せてうめいた。膣壁が、息子をいやと言うほど四方から圧迫し、包み込んでくる。そう。俺たちは今、ひとつになっている。
俺はある程度進んだところでいったん動きを止めて華奢な体を抱きしめた。しばらく経てば、少しは中がこのサイズに慣れて痛みがましになるだろうと踏んでのことだ。
「大丈夫、だから」
「いや、大丈夫って」
「動いて、先輩。私は大丈夫。だって、あなたがくれたこの痛みは、私たちふたりのものよ。あなたが初めて私を愛し、ひとつになった、その証だから」
無理をしているとわかっても、こんな笑顔を見せられて、反論できるはずがない。だったら、せめて少しでもこいつが苦しまないで済むようにしてやらねえと。
To be continued...
ver.1.00 12/8/27
本作品は近日発売となります『俺が後輩と温泉で×××するわけがない』のクライマックスに至る部分です。
上記のとおり黒猫と京介のラブストーリーはR18の内容となります。
続きは、たいへん申し訳ありませんがご購入の上、お楽しみくださいませ。どうぞ、よろしくお願いいたします。
■俺が後輩と温泉で×××するわけがない
それでは、再び皆さまとお会いできることを祈りながら。
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