「残念ながら今のところ犯人の目星はついていません」

 ホワイトボードからこちらに向き直った頭の上に色とりどりの花を乗せる少女の報告を受けて、その場の誰もが硬い表情をみせた。
風紀委員(ジャッジメント)の第一七七支部が何とも形容し難い空気に包まれている理由ははっきりとしている。
一昨日から立て続けに起きた未解決の事件がその原因だ。

 続いて現場に残された痕跡や被害者の声やネット上に流れる情報をまとめた初春飾利は、同僚と先輩に説明していく。

「なるほど。短時間によく調べてくれましたわね、初春」

 花飾りの少女と同じ学年の風紀委員、白井黒子は友の労を穏やかなほほえみでねぎらって、

「それにしても、第七学区内のみとはいえ狙われた部屋に共通項を見出すのが馬鹿らしくなりますわね。手当たり次第にやっているとしか思えませんわ」

 緩く握った拳の一端を顎先に触れさせつつ、その肘を抱くような態勢でうーん、とうなる。

「昨日の昼間、授業でひと気がない時間帯に午後二時から三時までの間に三十二件、すべて同じマンションを狙うなんて尋常ではありませんの。確かに一度セキュリティを破ってしまえばすぐに発覚する事はないですが、まったく、呆れるくらいに大胆ですわね」
「そうですね。それでいて、この犯人は極めて冷静に淡々と窃盗を実行しているんですよ。普通、これだけたくさん犯行を繰り返せば証拠の一つや二つは間違いなく出るはずなんですけど、あるのは誰かが侵入した痕跡だけで、犯人に繋がるような物はなく目撃情報も皆無ですからね」

 大胆かつ繊細、というのが数々の花で彩られた少女の犯人に対する見解だった。
何しろ、短時間にこれだけおびただし数の犯行を重ねておきながら、尻尾をつかませない相手なのだ。

 そして、もう一つ。

「これは勘ぐりすぎかもしれませんが、ここから手がかりを見つけられるものなら見つけてみろ、とわざわざ荒らした形跡を残しているような……上手く言えませんけど」
「つまり、わたくしたちを挑発していると」
「はい」

 初春はマジックインキの蓋を閉めると、手元に落としていた視線をツインテールの少女へとやった。
白井は指先を頬へと移して友のまなざしを受け止める。

「風紀委員への恨み、という線は薄そうですわね。愉快犯か、それとも」
「その可能性はありますけど、まだ決めつける訳にはいかないですよね。今の話には何の根拠もありませんし、もしかすると意図なんてないのかもしれません。ただ、本人への手がかりが一切ないところをみると、そうなのかな、って思ったんです」
 幾つかの資料が貼りつけられたホワイトボードをじっと見つめたまま、静かに後輩たちのやり取りに耳を傾けていた固法美偉(このりみい)は、そっと息を吐き出してから眼鏡のレンズを下側から指の背で押し上げた。

(下着ばかりを狙った犯行、ね)
 自身の黒いセミロングの髪にゆっくりと指を梳き入れながら、透視系能力(クレアボイアンス)の使い手は胸中で独りごちるようにつぶやきをもらす。
犯人像が浮かばない訳ではない。だが、偏執狂による犯罪行為、それも強い自己顕示欲を持つ者の仕業という、経験から導き出された自らの所見に疑問を抱いていた。
今ひとつ相手の意図が読みきれない。どこか腑に落ちない。
理論だった説明はできないが、得体の知れない気味の悪さを覚えずにはいられず、逆に、単なるマニアによる犯行であったならば、胸を撫で下ろしたくなる奇妙な心境である。

「ところで初春。犯人はどこから現場に侵入しましたの? この建物は確か入り口で本人確認が必要なタイプのはずですが」
「はい。手段はわかりませんが、正面から入ったみたいです」
「正面から」

 白井は目を瞬かせた。あまりにも大胆すぎる行動である。
部外者が立ち入れない場所に堂々と入るなど、正気の沙汰ではない。
確かに壁面や地下、あるいは屋上から侵入するためにはかなりの能力者でなければ人目につかず屋内に侵入するのは至難の業だが、それでも正面突破よりは容易いのではないか。

(事件が起きているのはここだけではありませんの。マンションの住人が犯人とは考えにくいですわね。成りすましだとすれば身近な存在か、少なくとも学生でしょうか)

 ツインテールの少女が思考をめぐらせている間も、初春の言葉は続く。

「目立たないところに現場にも残されていたシールが見つかりましたので、間違いないと思いますよ。残念ながらごくありふれた品なので割り出しには役立ちませんけど」
「味なマネをしますわね」

 それはテレビや小説で見られる、著名な怪盗が自分の手によるものであることを示すための行為だ。
しかし、屋内にあるのは人間の目ばかりではない。
四六時中、ひと時も休むことなくカメラによる監視が続けられている。

「でも、それなら映像の一つや二つ、残っていませんの?」
「そのはずなんですが、監視カメラには一切姿が映っていないんです。シールが貼られたのは、たまたま入ってきた人の影で死角になった瞬間でした。通り過ぎた後に、忽然と現れたんです。そして、記録媒体が書き換えられた線はまずありません」

 白井はすっと目を細めた。
やはり犯人は外部者ではなく、学園都市の人間ということか。
能力を行使して影に潜み、まんまと正面から入りおおせたというわけだ。

「言うまでもありませんが、居合わせたその方は完全にシロです」
「当然ですわね」

 もしそうなら事件はすでに解決している。

「光の屈折を利用した能力者でしょうか。あるいは」

 と、ツインテールの少女があらゆる可能性を探るべく、思考の海に意識を投げ出そうとしたその時だった。

「こんにちはー」

 元気な挨拶と共に扉が開かれて、白梅を模したヘアピンをつけた少女が姿を現す。
初春飾利の親友、佐天涙子である。

「あ、今日は固法先輩もいらしたんですね」

 明るい声で言ってから、この部屋唯一の一般人はぱちぱちと瞬きをした。

「もしかして、会議中でした?」
「そうね。対策会議と言うか」

 張り詰めたとまではいかなくとも重い空気の中、のんきにたずねてくる後輩に眼鏡の風紀委員は小さく苦笑する。
明文化されているわけではないが部外者は立ち入り禁止の場所であるこの支部に、ここまで堂々と入ってきたのはおそらく佐天が初めてであろう。明文化 他の生徒ならばまず遠慮してもらうところだが、よほどのことがない限り入室を許してしまうのは、その憎めないキャラクターによるところが大きい。

 もっとも、佐天涙子が半ば出入り自由となったのは、規律に対して厳格な固法やルールを遵守しようとする初春がとやかく言わないのは、本当に重大な案件を扱う時にはきちんと節度を守って自重するからであり、無条件にすべてを認めるわけではない。

「へえ。事件ですか」
「ええ。下着ドロですの」

 注意を促そうとする意図があるのか平然とそんな言葉を口にする白井に続き、眼鏡の少女は説明の語を加えた。

「どうやら犯人はよほど下着が好きらしくてね。この二日で百件近く、四百点以上の下着が盗まれているわ」
「四百……って、すごい数じゃないですか」

 仮に一週間分、七枚の下着を一組と考え、単純に割ってみると四百とは57週を補って余る量だ。
順番に回していけば58週目にしてようやく最初に履いた一枚に戻ることができる。
それこそ、店が開けてしまう膨大な数だった。

「犯人は男なんでしょうか」
「そうとは限らないかもしれないわよ」

 意味ありげに笑う固法に、佐天が首を傾げる。

「女の人かもしれない、ってことですか?」
「そうね。もしかすると」

 これは偏見なのかもしれないが、偏執的な下着マニアといえば真っ先に浮かぶイメージは男だ。
中にはそういう趣味の女性がいても、不思議ではない。

「私の言葉の意味、伝わっているかしら」
「へ?」

 固法の問いかけに軽く目を見開いた佐天は、ショートカットの親友がくつくつと肩を震わせている事に気づいた。

「ねえ初春。何がおかしくて笑ってるわけ? 私、何か変なこと言った?」
「いえ、変とかそういう事ではなく、佐天さんが下着をこよなく愛する方だからじゃないですか」
「なっ……」

 予想外の答えだったのか絶句する友の表情に、初春は吹き出しそうになるのをこらえてうつむく。
振り返ると、眼鏡の先輩も同じように笑いをこらえていた。
なるほど、言われてみれば日々スカートめくりをするのはパンティを見たいがため、という理論が成り立つ。

(そりゃあ、いつも初春のパンツを拝んでるけど)

 言い返すことができず、うー、と顔を赤らめたまましばらくうなっていた佐天は、ぐっと唇を噛み締めるといきなりの暴挙に出た。

「えい」
「ひゃあぁ!?」

 裏返った悲鳴と共に初春のスカートが宙を舞い、純白の布地が開帳された。

 結局、この日は手がかりになりそうな情報がないまま、会議はひとまず棚上げとなったのである。



 残っていた通常業務を済ませて寮へと帰り着いた黒子は、扉を開くと同時、満面の笑顔で挨拶の言葉を口にしようとして瞬きをした。
生憎、そこには誰の姿もない。
お姉様はまだお帰りではありませんのね、と内心独りごちつつ明かりをつけて、凝っているわけではないものの何となく重さを感じて肩を回す仕草をする。
肉体的な疲労はないものの、とっかかりすら見つからない事件を取り扱う時は、精神力の勝負となる。
先が見えない戦いを続けるのは、存外消耗してしまうものだ。

(当分は地道な情報収集をしなければ……と?)

 ツインテールの少女は唐突に違和感を覚えて眉をひそめた。何かが違う、と感じたのである。

「はて」

 室内は特に変わった様子はない。ベッドの位置も、きちんと整えたシーツも、ゴミ箱や時計などの小物にいたるまで今朝、出て行った時と同じである。

 白井は首を傾げながらもう一度辺りを見回すも、不審な点は見当たらなかった。
気のせいだったのだろうか。だが鞄を下ろし、着替えようと思ったその時、彼女は発見した。

「これは」

 窓枠のところに見覚えのある、小さなテープが貼られている。
ツインテールの少女は思わず息を飲んだ。
連続窃盗事件の現場に残された淡い黄緑色のそれを、見間違えようはずはない。

「はっ!」
 白井は顔を引きつらせて鞄を放り出し、駆け寄る時間さえ惜しいとばかりに固めてある私物の元へと空間移動(テレポート)した。

(今夜履くはずだった勝負下着が! お姉様と過ごす甘いひと時が……!)

 犯人の意図は不明だが、狙われているのは下着のみ。
当然、彼女のコレクションも標的となるはずだ。

 しかし、である。
ツインテールの少女がほっと胸を撫で下ろしたのもつかの間、すぐに大量の疑問符が頭に浮かんでいた。

「でも、どうして」

 つぶやきを声に出してしまったのはそれだけ驚きが大きかったためで、その他の品も手つかず、まったくの無事だったのだ。

 と、ある考えがよぎり、白井はごくりと生唾を飲んだ。

(まさか、とは思いますが)

 そう。この部屋にあるのは彼女の物だけではない。

 案の定、と言うべきか。調べてみると、美琴の年齢にはふさわしくない、かわいらしいキャラクターの図柄が入った下着がごっそり消えていた。


 時は少しさかのぼる。

「何やってんの、アンタ」
 ある角度で蹴りを叩き込むと缶ジュースを吐き出す自動販売機が置かれた公園で、御坂美琴は幻想殺し(イマジンブレイカー)の少年とばったり出くわした。
彼女がついたずねてしまったのも無理はない。
少し離れたところで小さな、五つくらいの女の子が泣いていて、彼は木の周りをぐるぐると回っていたからだ。

「よお」
「おっすー」
 こちらを振り向き気さくに応えてくる上条に、電撃使い(エレクトロマスター)の少女は挨拶を返した。
だが、彼の視線はすぐに件の木へと戻る。

「ここに何かあるの?」
「ああ、そこの枝に引っかかっちまった風船を取ってやろうと思ってさ。今から木に登るところだ」
「……へえ」

 要は、見ず知らずの女の子が泣いている理由を解決しようとしているわけである。
相変わらずの人の良さに、美琴は我知らず口元を緩めた。

 次いで、彼女の目線が捕らえたのは間近に設置された公園設備だ。

(うん、隣に電灯があるし、これならいけるわね)

 あっぱれな心意気に水を差すつもりはないが、美琴の能力をもってすれば瞬く間に片付く。
元々、困っている人の力になることを惜しまない、むしろ進んで協力したい性格が、ツンツン頭の少年への呼びかけとなった。

「ちょっと下がってて」
「え?」
「いいからここは私に任せなさい」

 常盤台のエースと呼ばれる少女の唇が描く弧の形は揺るぎない自信の表れで、

「よ、は、ほっ」

 そんな掛け声と共に発生した磁力を使って電灯を地面代わりに駆け上り、見事に風船をキャッチして着地する。

 それを見た小さな女の子はぱっと表情を輝かせて走り寄ってきた。

「はい、どうぞ」
「わあ……お姉ちゃん、ありがとう!」
「はは、お礼ならこっちお兄ちゃんに言ってあげてよ」

 はにかむ美琴から上条へと体の向きを変えて、風船を手にした少女は明るい声で礼を言う。

「お兄ちゃん、ありがとう!」
「もう手を離すんじゃないぞ」
「うん!」

 嬉しそうに駆けて行くほほえましい後姿を並んで見送った後、黒髪の少年は改めて電撃使いの少女に声をかけた。

「お前、すげえな」

 すっかり感心した顔つきの上条に一瞬見とれて、美琴はあわてて前を向く。

「言っとくけど、褒めたって何も出ないんだから。別に、こんなの何でもないわよ」

 本来ならば額面どおり受け止めるべき何の裏もないストレートな物言いに、素直にありがとうと答えられないことに、少女は幾ばくかの心苦しさを覚えて、何か次の言葉をと思ったのと同じタイミングで、鞄の中の微かな振動に気づいた。

「あ、ごめん。ちょろっと待って」
「ん? ああ、メールか」

 彼女は、普段は話の途中でわざわざ携帯電話を取り出すことはないのだが、この時は取り敢えず間を持たせるために利用したのである。

 だが、数秒後に美琴はそれどころではなくなってしまった。
携帯電話の画面に表示された『お姉様の下着が奪われました』という、白井から送られてきたメッセージをきっかり三度読み直して、顔を上げる。

 直後、「どうなってるのよー!」と怒りに満ちたお嬢様らしからぬ叫びが公園に響き渡った。


後編

ver.1.00 09/12/23
ver.1.83 09/12/25

〜とある下着の盗難事件・舞台裏〜

「初春、この後暇でしたらちょっと付き合って欲しいところがありますの」

 仕事が一段落し、キーボードから手を離して伸びをしかけたところで声をかけられた花飾りの少女は、古代武術の型を思わせる奇妙なポーズではたと動きを止めた。

「いいですよ。この後、何の予定も入ってませんから」

 人のいい初春はいきなりの誘いにも嫌な顔を見せるどころか二つ返事で引き受ける。
そうしてから、白井の様子がいつもと違うことに気づいた。
どこが、とはっきり指摘できるほどの差ではないが、心なしかそわそわして見えるのは気のせいではあるまい。

「んっ」

 花飾りの少女は取り敢えず頭上に腕を上げることで固まってしまった肩周辺を解し、改めてツインテールの友人へと向き直ると、一足先に作業を終えていたらしくすでに帰り支度を済ませていた。
パソコンの電源を落とし手早く書類をまとめ始める。

「ちなみにどちらへ行かれるんですか?」
「セブンミストですの」

 何か考えごとをしていたのか、白井は呼びかけに一拍遅れて応えてきた。
やはり今日の彼女はどこか変である。

「私もちょうど行きたかったんです」

 初春は手を組み合わせると、口の端を緩めてわずかに歯を覗かせた。
親友の佐天涙子に勧められた楽曲をチェックしようと思っていたところなので、タイミングのいいお誘いだったのだ。

「でも、珍しいですね。白井さんからお買い物の話なんて」
「たまには初春とウインドウショッピングを楽しむも悪くはないと思いまして」

 もっともらしい説明に、花飾りの少女は一瞬納得しかけたのだが、直後、頭に浮かんだある考えを口にした。

「とか言って、本命は御坂さんへのプレゼントとかじゃないんですか?」

 十二月も半ばを過ぎて、クリスマスは目と鼻の先である。
プレゼントを用意するにはやや遅いくらいで、早すぎることはない。

「う……どうしてそれを」

 いきなり事実を指摘されたためか、ツインテールの少女はしらを切ることができなかった。
彼女が先ほどから浮ついているのは、大好きなお姉様への贈り物をどうするか、そればかりが意識を占めているせいだったのだ。

「だって、しっかりと顔に書いてありますもん」
「まあ、隠すつもりはありませんが」

 苦笑する白井に、初春はやじ馬根性を刺激されたのか少し身を乗り出して質問した。

「何にするか、決めているんですか?」
「それなのですが」

 ツインテールの少女は宙の一点を見つめながら言葉をつむいでいく。

「候補は幾つかあるものの、まだ絞り込めていませんの。手編みの物も考えましたが今から練習していたのでは到底間に合いませんし、それはまたの機会ということでひとまずお店に行こうかと」
「なるほどー」

 友がみせる幸せそうな横顔は、花飾りの少女にもほほえみをもたらした。
うまくいけばいい、と心から思う。

「喜んでもらえるといいですね」
「もちろん、お姉様に喜んでいただくため、黒子は身を粉にして尽くしますわ。お姉様のためなら、たとえ火の中水の中、迷うことなく飛び込みますの」

 白井は頬をほんのりと桜色に染めて言うと、不意に唇をだらしなく緩めた。

「ふっふっふっふっふ。その夜をどう過ごすか、それを思えば媚薬入りのチョコレートや、催淫作用のある食材を使ったフルコースを振る舞うのも一手ですわね。聖なる夜を、お姉様を存分に味わって……」
「白井さん。それ、きっと“聖”の字が別のものになってますよ」

 いきなり妄想を漏らし始めた友人に、初春は苦笑いで突っ込みを入れる。

「はっ!?」
「はっ、じゃないですよ、もう」

 我に返った白井はわざとらしく咳払いをすると、さっと花飾りの少女に背を向けた。

「ともかく、わたくしはお姉様と一緒に過ごせることができればそれで十分ですの」

 友の声に含まれた微かな照れを感じ取って、初春はくすっと笑う。
白井黒子の言動を表面的に捕らえるならば、ただの変態に過ぎない。
想いが高じて暴走するきらいはあるものの、美琴に対するひたむきな気持ちは一種うらやましくもある。
そんな風に誰かを想う事ができるのは、とてもステキだと思えるのだ。

(好きな人の笑顔はそれだけで嬉しくなりますし、ね)

 花飾りの少女は胸中つぶやくと、鞄を手に取り立ち尽くす友の腕に自分のそれを絡めた。
驚く白井にあまり器用とは言い難いウインクを飛ばす。

「では、御坂さんに喜んでもらえるようなプレゼントを見つけに行きましょう」

 この日、長い時間をかけて二人が選んだ贈り物は、淡い色使いの水玉が入ったカーディガンだった。



 久々の超電磁砲SSでした。当麻の登場は実に久々です。
今回のヒロインは美琴で、これまた久しぶりのものとなります。
奪われてしまった彼女の下着、そして犯人の意図。すべては後編で明らかになります。

「ま、まさか犯人の目的はお姉様の下着に埋もれたり匂いを嗅いだりかぶったり……!?」
「まずはテメェのふざけた幻想をぶち殺す!」

 次はそんなお話です。もちろん嘘ですが。

 それでは、再び皆さまとお会いできることを祈りながら。



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