2月14日が何の日かとたずねて、
返ってくる答えと言えば十中八九、いや、九分九厘同じものではないだろうか。
よしんば頭をひねって何かネタを考えるヤツがいたとしても、
大抵の人間がまずバレンタインのことを思い浮かべてしまうはずだ。
物心がついた頃には所詮菓子メーカーの策略だ、
などという賢しい台詞を吐いていた俺なのだが、
もちろん、この日に起こるイベントについて考えたことがないと言えば嘘になる。
俺だって男だ、くれる女子がいるならば喜んで頂戴するに決まっている。
たとえそれがお馴染みSOS団のメンバーであれ、それ以外の誰であれ、
どなた様でも大歓迎といったところだが現実はそう甘くはない。
“涼宮ハルヒのための団”に属している人間にチョコを贈りたいなんて奇特な女生徒は、
常識的に考えて存在する訳がないからだ。
そりゃそうだろう。かく言う俺だって部外者の立場なら、
こんな珍妙な連中とは係わり合いにならないよう努めたに違いないからな。
さて、話をバレンタインデイそのものに移そう。
2月14日、この日に限っては、
女子の方から好きな男子にチョコレート等の贈り物をし、想いを告げてもよいとされる日だ。
ちなみに起源となった本場、ヨーロッパでは男子が女子にプレゼントを贈る一般的で、
女子から贈る日であるのは、日本を始めとするアジア諸国に限られる。
ところで、聞いた話かつて司教ウァレンティヌス(バレンタイン)なる人物が、
戦時下にローマ教皇が出した禁止令を破って想い合う男女のキューピッド役を果たしたのだが、
現代よりも遥かに大きな権力を持っていた宗教団体に属する人間がトップの意に背いた訳で、
朝比奈さんの言葉を借りて言えば禁則事項に触れてしまったために、
女神に愛と豊穣を願う祭りの日である2月14日に処刑が行われ、
その命日にちなんでバレンタインデーがあるらしい。
ま、どうでもいいことだがな。
余談はさておき、教室では昨日までは誰にチョコレートをあげるだの、
誰それからもらう予定だの、そんな話で持ちきりだったのだが、
当日になるとそれは禁句ですと言わんばかりにピタリとこの話題は消えていた。
要するに、今日がバレンタインデイということを意識しているのだろう。
谷口もその例に漏れず、
妙に顔を強張らせつつ時折周囲を見渡すなんて不審者そのものの動きをみせている。
と、教室をぼんやり見渡していた俺は、入り口にハルヒが現れたことにすぐ気づいた。
いつものようにつまらなさそうな表情のまま、こちらに向かって歩いてくる。
こちらに、と言ってもこいつは単に分の席を目指しているだけなのだが。
「よう」
ハルヒは鞄を机の横に引っかけると、いら立たしげに髪を耳の後ろに払った。
「今日は朝から散々だったわ」
どうやら登校中、何かアクシデントにでも巻き込まれたらしく、
鼻の頭に小さくしわを寄せ、ついでに眉も寄せている。
まったく、見栄えのする顔立ちが台無しだ。
ちなみにここへ来るまでに事件が起こったと感じたのは、
言葉の端ににじむ怒りが新鮮なものだったからである。
「一体何があったんだ?」
ハルヒは頬杖をつくと、
じろりとこちらに視線をやっていまいましそうに歯をむき怒気を発した。
「ついさっき、自転車にぶつかられそうになったからあわてて避けたんだけど、
そいつ謝りもしないで素通りよ。信じられる? このあたしにそんなこと、何様のつもり?」
「それは災難だったな」
こいつが怒るのも無理はない。
日頃自分本位な発言の目立つハルヒだが、今日ばかりは素直にうなずかざるを得なかった。
悪いことをした時はごめんなさい。何かをしてもらったらありがとう。
人身事故未遂の誰かさんは、そういうことを小学生の時に習わず育ったらしい。
「おまけにどいつもこいつも鞄の中にチョコレートを忍ばせてるもんだから、
風が吹いていなくたって甘ったるい匂いが漂ってくるし。本当、うっとうしいったらなかったわ」
それは八つ当たりだろうというツッコミは当然胸の内でつぶやくに止め、
俺は曖昧に相槌を打った。
一方ハルヒは口にすることでいくらか発散することができたのか、
いつもよりはやや不機嫌か、くらいの表情に戻っている。
そういえば、こいつがバレンタインについて何か発言しているのを聞いたことがない。
いい加減長い付き合いになるが、
ある意味国民的行事とも言えるこのイベントのことをどう思っているのだろうか。
「ところでつかぬことを聞くが、今日は何の日か知ってるか?」
「誰かの命日らしいけど、別にどうってことのない日よ。それがどうかしたワケ」
さすがに、「ごめんごめん忘れてた今日はバレンタインだったよね」
なんてチョコレートを渡してくれる展開を考えた訳ではなかったものの、
あまりに冷めきった回答は、ハルヒらしいと言うべきなのか。
ま、こいつに甘いイベントを期待するのが、そもそも間違いなのかもしれない。
「はは、そうだよな」
俺が小さく苦笑した直後、岡部が急ぎ足で教室に飛び込んできたため、
会話は打ち切りとなった。
放課後を迎えるまでの間に、
学内のいたるところでバレンタインのイベントが行われていたらしく、
その痕跡はそこかしこに残っていた。
たとえば残り香であったりだとか、チョコレートの包み紙だとか、
更には現在進行中の場面にたまたま出くわしてしまって、
綺麗にラッピングされた贈り物を授受する二人が頬を赤く染めてうつむいてみたりだとか、
とにかく、今日がどういう日であるのかを意識させられることこの上ない。
ちなみに俺の収穫はまったくなし。ま、そんなもんだ。
しかし、部室に着いた俺を待っていたのはちょっとした出来事だった。
部室に来ていたのは長門一人で、いつものように分厚い本を開いていた。
別段珍しい光景ではなかったのだが、
こいつがまったく世間とは切り離された世界で生きているのだとしみじみ思ってしまう。
よお、と一応声をかけてから席に着いた途端、俺は思わず目を見張った。
どうしたことか長門は本を閉じて立ち上がり、更にはこちらに向かって歩いてきたのである。
「どうかしたのか」
常ならぬその動きに、自然、声が硬くなった。
朝倉の時のように、また何か危機が迫っているというのか。
長門は椅子に座る俺の目の前で立ち止まると、右手を持ち上げた。
「これ」
その言葉で、無造作に突き出された右手にあるものが何であるのかに気づく。
リボンが結われた小箱だった。少なくとも、見た目はごく普通のものである。
もっとも、だからと言ってこれが超常的な何かではないと判断するのはまだ早い。
何しろ宇宙人が用意したものだ、どんな仕掛けが飛び出すかわからないからだ。
あるいは危機が迫る兆候を感じ取り、それを打開するための道具でも入れてくれたのか。
もしかするとお守りのようなものかもしれず、あるいは武器であったりするのかもしれない。
いずれにしても、あれこれ考えてみたところで透視能力を持たない凡人の身には、
開けてみる以外に箱の中身を知る術はない。
「……」
長門は、俺に受け取ることを促しているのか更に一歩踏み出してきた。
よくわからないが、せっかくだからもらっておくとするか。
こいつが危ないものを渡してくるとは思えないしな。
と、不意にある考えが頭に浮かんだ。
「!」
確かに今日はバレンタインデイである。
女子の方から好きな男子にチョコレート等の贈り物をし、想いを告げてもよいとされる日だ。
そもそも何か危険があるとすれば、
あわや世界が滅びかけた閉鎖空間事件の時みたく、まず気をつけろと忠告するに違いない。
だがしかし、そんなことがありえるのだろうか。
自分の考えに息を飲みつつ、
無表情に手を差し出したままの長門に信じられない思いのまま確認する。
「俺に、か?」
「そう」
そっけない返事にうなずき返して贈り物を受け取ると、
ミリ単位、いや、ミクロン単位で長門の表情が動いたような気がした。
ともかく、これは喜ぶべきことには違いあるまい。
中身を確認していないためまだ断言はできないが、
おそらくはバレンタインのチョコ、一個目を手にしたのだから。
しかし、嬉しそうに箱を持ったまま呆けていればいつハルヒが現れるとも限らない。
そうなると色々ややこしい話になるのは目に見えている。
「ありがとな」
「……」
礼を言っていそいそと鞄へ小箱をしまう俺を、
長門は数秒じっとこちらを見た後、再びパイプ椅子に座って本を開いた。
ホワイトデーのお返しは、やっぱり本にしておくべきなんだろうな。
コンコン、とノックの音があったのはそれからしばらく経ってからのことだった。
しかし、珍しいこともあるものだ。
勢いよく、あるいは控え目にと言った開け方の違いはあっても、
この部屋を訪れるのにわざわざノックをする人間が俺以外にもいようとは。
「開いてますよ」
座ったまま体を入り口の方に向けて返事をして、だが何の反応もなかった。
誰かが悩み相談に来るとは思えないが、応対せずに放っておくのも気が引ける。
何より、することがないから暇なのだ。
いざとなればすぐ側に長門も居ることだしな。
俺は入り口まで移動して、ノブに手をかけた。
待っているのは蛇か鬼か。
「キョンくん」
扉を開いた先に立っていたのは、意外にも朝比奈さんだった。
いつもにもまして晴れやかな、まるで天使のような笑顔をみせている。
「ちょっと、いい?」
「はあ、別に構いませんが」
朝比奈さんはドアの隙間から部室を確認し、どこかおどおどした態度で左右を見やると、
鞄を持ってついて来て、と言い残して扉を離れた。
「一体どうしたんですか朝比奈さん」
早足で廊下を行く朝比奈さんにようやく追いつくと、
再び彼女は周囲に誰もいないことを確認して大きく息をついた。
それから、ごそごそと鞄を探って小ぶりな箱を差し出してくる。
「あの、これ」
もじもじと恥じらいの表情をみせる朝比奈さんに似合う単語を上げるとするならば、可憐。
「そんな、たいしたものじゃないけど」
下手をすれば脳髄を焼き切られかねない程に可愛らしくはにかむ姿に、
俺は心の中でシャッターを切りまくっていた。
まさか、朝比奈さんからチョコレートを頂けるとは思いもしなかった。
想像もしなかった幸せが、今ここにある。
「ありがとうございます」
恭しく両手で受け取って、俺は深く頭を下げた。
贈り物に優劣をつけるのはどうかと思うが、
これは紛れもなく価値の高いチョコレートである。
「先に部室に帰っていて。わたしは少し時間を置いて行くから」
「わかりました」
気恥ずかしそうにちら見をしてくる朝比奈さんに、なるべく平静を保ちつつ答えると、
俺は目礼をしてから踵を返した。
本日二つ目のチョコをゲットである。
ひと気のない廊下を歩きながら、自然と頬が緩むのを感じずにはいられなかった。
「えへへ」
部室に戻ってきた朝比奈さんは、俺の顔を見るなり照れ笑いをした。
破壊力抜群の笑顔に、頭の後ろをかきながら曖昧な笑みを浮かべて応える。
だが、甘い雰囲気は次の瞬間爆砕した。
「チャオ!」
全てを根こそぎ吹き飛ばすかのように、
ハルヒが胡散臭い外人のようなノリで部室に入ってきたのである。
「みくるちゃん、まだ着替えていないのね」
「はい、今来たところなので」
ご主人さまのお叱りを今にも受けようとする子犬のように怯えをみせる朝比奈さんに、
ハルヒが重畳、と言わんばかりに目と口元を弓にする。
「ちょうどいいわ。ほら、座ってて」
「あ、はい」
思いがけない言葉に戸惑いながらも、朝比奈さんは席に着いた。
こちらを見てくるが、肩をすくめることしかできない。
教室を出るまではいつもの仏頂面だったような気がするのだが、
今のハルヒはどうしたことかえらく上機嫌だ。一体何があったのか。
しかし、数分後更なる衝撃が部室を襲った。
何やら湯のみや急須をいじっていたハルヒが、俺の肩を叩きこう言ったのである。
「はい、これあんたの」
天地がひっくり返るような、とはまさにこのことだった。
俺がみせる驚愕の表情をつまらなさそうに一瞥すると、
ハルヒがそっぽを向きながらぐっと手を突き出してくる。
「ほら、ちゃっちゃと受け取る」
「ああ、すまない」
他の誰でもない、ハルヒが他人のお茶を入れようとは。
明日は雨か。いや、真夏日が訪れても不思議ではない。
「?」
湯飲みに口をつけて、俺は目を瞬かせた。
ちょっと待て、これはお茶ではない。
大体、茶葉からこんな色の水が出てくるはずがない。
これは、ココアだ。
「みくるちゃん、ここに置いておくわ」
「あ、ありがとうございます、涼宮さん」
驚き顔をみせた後、思い出したようにあわてて頭を下げる朝比奈さんに目をくれることなく、
ハルヒは長門の元へと歩いていく。
「はい、有希」
「ありがとう」
当然ながら、長門は顔色一つ変えることなく湯飲みを受け取った。
それでも、呼ばれて顔を上げた辺りは彼女なりに誠意ある対応なのだろう。
「それじゃ、あたしは帰るから」
ハルヒは鞄を手に取ると一方的にそう告げて、返事を待たずに踵を返した。
何なんだ、こいつは。
ただみんなのためにお茶を入れにきたとでも言うのか?
「ああ、お疲れ」
扉を閉めるハルヒの背に声をかけて、俺は正面へと視線を向けた。
「でも、わたしびっくりしちゃいました。涼宮さんがお茶を入れてくれるなんて」
「まったくですね。こんなことって……え、お茶?」
今、朝比奈さんはお茶と言った。
いくら湯飲みに入っているとはいえ、さすがにココアをお茶と言い間違えたりはしないはずだ。
見れば長門はいつの間にか飲み干していたようで、
湯気の立っていない湯飲みがテーブルの上に置かれていた。
はたして中に入っていたのはココアか、お茶か、それとも別の何かであったのか。
一応、聞いてみるとしよう。
「なあ、さっき長門が飲んだのって何だったんだ?」
「煎茶」
的確な回答をありがとう。
しかし、これでほぼ間違いない。俺の分だけ二人とは別のものが入っていたらしい。
だが、ハルヒは何故そんな面倒なことをわざわざしたのだろうか。
内心独りごちる俺に、朝比奈さんが小さく首を傾けつつたずねてきた。
「キョンくんのには、別のものが入っていたんですか?」
「いや、そういう訳では」
はは、と乾いた笑いで誤魔化しながら、胸中思考をめぐらせる。
つまり、俺だけがココアだったということになる。
確かに今日はバレンタインデイだが、まさか、な。
しかし、ハルヒが俺のためだけにそれを用意したと考えて、悪い気はしなかった。
「すみません、俺、ちょっと急用ができたのでお先に失礼します」
今から追いかけて間に合うかどうかはわからないが、礼はきちんと言っておくべきだろう。
「では、お疲れさまです」
「え、キョンくん?」
びっくりしたような朝比奈さんの声を背に受けながら、ひと気のない廊下を駆ける。
すでに俺の中では気づかない振りをするという選択肢は消えている。
3月14日が訪れるのを待ってさり気なく返すというのも同じくない。
それでも、ひと気のない廊下を進む俺の歩みに迷いはなかった。
追いついたからと言って、どうなるものでもない。
そこに甘い展開が待っているとは考えにくいし、
自意識過剰よ、バカじゃないのと冷たく一蹴されるかもしれない。
それでも追いかける気になったのは、今日がバレンタインデイだからなのか。
そして、今日ばかりはなんとなくハルヒに追いつくことができるような、そんな気がした。
ver.1.00 08/03/16
ver.1.23 08/03/17
ver.2.00 09/02/15
〜涼宮ハルヒの衝撃・舞台裏〜
みくる「はい、涼宮さん」
ハルヒ「なに、これ。お茶請けのお菓子でも買ってきたの?」
みくる「はい、チョコレートです。今日はバレンタインですので皆さんに、と思って」
ハルヒ「なるほど。えらいわみくるちゃん。
日頃お世話になっている団長へ形でもってお礼の気持ちを示そうと考えたわけね」
みくる「はあ、まあ」
いつものように愛くるしいメイド姿のエンジェル、
朝比奈さんが照れくさそうに頬を緩める姿はなんともほほえましい。
何時間でも見ていて飽きない自信がある。まったく、ハルヒにも見習って欲しいものだ。
ハルヒ「あれ、もしかして有希も用意してくれたわけ?」
長門 「あなただけに、ではない」
ハルヒ「うんうん、さすがは有希ね! 気配りまでしっかりできちゃうんだから」
長門 「そうでもない」
ハルヒ「いいのよ、謙遜しなくて。本当、あなたっていい子ね!」
我らが団長殿はパイプ椅子に座った長門を抱え込むように抱きしめると、
色素の薄い柔らかそうな髪に頬をすり寄せた。
SOS団、文芸部、コンピ研の三つを兼業する宇宙人はいつもの無表情を堅持しながらも、
どこか困惑しているような、くすぐったそうな顔に見える。
こういう場面を目にすると、長門も変わったなとつくづく思う。
ま、ハルヒの近くに居て影響を受けないヤツが居るとしたら見てみたいもんだが。
ハルヒ「で、そこの男どもはどうなのかしらねえ」
にこにこ顔を保持したまま、
ハルヒはじろりとSOS団の男連中、すなわち俺たちを見やった。
いくらペリカンのような口をしたって無駄だぞ。お前にやるチョコなど買っとらん。
そもそも、バレンタインにチョコを贈るという発想自体なかったぞ。
古泉 「どうなのかと聞かれていますよ」
キョン「他人事みたいに言うな。そこにはお前も含まれているだろうが」
古泉 「おや、あなたは本気でそんなことを言っているんですか?」
キョン「当たり前だ。むしろ俺は同じ台詞をお前に返したい」
古泉 「はは、まあいいでしょう。そういうことにしておきます」
キョン「どういう意味だ」
古泉 「ともかく、彼女の言葉は額面どおりに受け取っていいものではありませんよ。
少なくとも僕はそう考えます」
キョン「考えます、と言われてもな。意味がわからん」
意味ありげにニヤリと笑うハンサム顔に小さく眉をひそめたその時、
ハルヒ「こら、アホキョン! あたしの声はちゃんと聞こえてるんでしょう!
どうなのって聞いてるのよ、ごちゃごちゃ言ってないでさっさと答えなさい」
キョン「……やれやれ」
ここでポケットに入っているチロルチョコを渡した日には、逆に何を言われるかわからん。
まさか今から買って来いなんて言わないだろう。
キョン「すまんが用意してないぞ」
ハルヒ「あっそう。ま、最初から期待なんてしていなかったけどね」
その後ハルヒは別段機嫌を悪くするでもなく、
俺たちは朝比奈さんと長門が用意したありがたいチョコ菓子の恩恵に浴するのだった。
こちらは私が描いた初の涼宮ハルヒの憂鬱SSでして、
約1年ぶりに舞台裏を添えてのリニューアルです。
実はアニメ版を初めて観たのは2008年の2月下旬でして、
これを書いた当時は6話まで、小説は一巻を読み終えたばかりでした。
本編でバレンタインイベントはすでに描かれていましたが、
知らないことで逆に思いきって書くことができた気がします。
そういうわけですから、知識が完全でない状態で書いたことを予めご了承ください。
聞けば、もうじき第二期アニメがスタートするそうですが、
今度はリアルタイムで観ることができそうです。物語は消失から、でしょうか。
さて、ホワイトデーが過ぎた頃にバレンタインネタを書いたのは、
ただの思いつき、連想的に浮かんだだけでした。
季節ネタとしては、真冬に夏の話、その逆もあることを考えれば許される範囲でしょうか。
でも、今同じように話を書くとしたら、まったく別のものになっていたかもしれませんね。
男子から女子へチョコを贈るというのは別に珍しくなくなっているからです。
もっとも、古泉ならともかくキョンからチョコを贈る、というのは想像し難いですけれど。
ともかく、皆さまにお楽しみいただければ幸いです。
それにしても初めてハルヒを観た時、
朝倉からの呼び出し、その後のバトルという展開は正直驚いたものでした。
長門のトンデモ発言は現実のものだったのかと、
キョンじゃないですが観ながら思わずつっこんでしまったものです。
今考えると、予備知識を持たずに観れて幸いでした。
それでは、再び皆さまとお会いできることを祈りながら。
09.2.15 鈴原